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子ども劇「ポンタとマジムンの森」

子ども劇「ポンタとマジムンの森」
 
◆あらすじ
少年ポンタは、家族とピクニック中、道に迷い、マジムンの森で、たぬきのポンタと出会う。少年ポンタはマジムンパワーを手に入れ、たぬきに変身し人間界に戻れない。たぬきポンタは少年ポンタに変身し、家族をだまして人間界に行ってしまう。マジムンたちは、自然を大切にしない人間たちへの仕返しを計画していた。少年ポンタは、人間たちへの仕返しは反対だとマジムンたちに訴えるが聞き入れてもらえない。たぬきポンタは人間生活になじめず、兄弟たちを怒らせてしまう。兄弟は本物のポンタではないことを気付く。少年ポンタは仕返しを止めるようマジムンたちにお願いするがはねのけられる。ポンタを探しに来た兄弟の目の前で少年ポンタは強い願いと言葉で人間に戻る。たぬきポンタは正体がばれてしまう。少年ポンタはマジムン女王に人間に仕返ししないで欲しいとお願いし、受け入れてもらう。少年ポンタが目覚めるとピクニックに来た最初と同じ森だった。
 
 
◆本編 「ポンタとマジムンの森」
 
 
第一場 ドラキュラ最初のあいさつ
マジムンの森。
   マントをひるがえし、ドラキュラ登場。
ドラキュラ「ここはマジムンの森。お化けや妖怪、魔物たち――そう、マジムンがたくさん住んでいる、怖い森だ。森では、マジムンたちが、今夜もパーティをしているようだ。おや? (周りを見回し)人間の“血”の匂いがするぞ。――どうやら、美味しそうな人間が、迷い込んで来たようだ!」
ドラキュラはマントを大きくひるがえし退場。
第二場 ポンタの出会い
   マジムンの森。
   少年ポンタ登場。
   周りを見回している。
少年ポンタ「キャンプなのにさ、みんなどっかに行っちまった。お母さんも、兄さんも、リンも、みんな、大嫌いだ! 探しになんか、行かないぞ! あーあ! つまんないの!」
   少年ポンタはふてくされて座り込む。
   たぬきポンタが登場し、座り込んだ少年ポンタを指さして見て驚く。
たぬきポンタ「あっ! 人間だ!」
   少年ポンタがたぬきポンタを指さす。
少年ポンタ「あ! たぬきだ!」
   少年ポンタは立ち上がる。
たぬきポンタ「お前は、どこから来たんだ?」
少年ポンタ「僕は、向こうの町から来たんだ。僕はポンタ。よろしくな!」
たぬきポンタ「お前、ポンタって言うのか? (胸を張って)おいらも、ポンタっていうんだ。森で一番の“ドロン”の名人とは、おいらのことさ」
少年ポンタ「ポンタ・・・不思議だ、同じ名前だね。そうだ、僕もポンタと一緒に“ドロン”して遊びたい。いい?」
たぬきポンタ「そうときたら、まかしときな!」
   たぬきポンタはうやうやしく礼をする。
たぬきポンタ「それじゃ案内するぜ。ようこそ、マジムンの森へ!」
   暗転
第三場 マジムン女王のパーティ
   マジムンの森。
   動物(ライオン、ワシ、トラ)、小悪魔、もったいないお化け、ドラキュラが曲に合わせて踊り、歌う。
   ドラキュラが登場し、手を挙げて合図をすると全員列になって並ぶ。
ドラキュラ「マジムン女王様のおなーりー!」
   マジムン女王・王が登場。
   全員一同敬礼し、女王夫妻を迎える。
   女王は手招きしてテリーナを呼びつける。
女王「ねえ、テリーナ! ちょっと来て! 私、暇なんだけど。アンタ、召し使いなんだから、私を楽しませなさい」
   テリーナがお辞儀をする。
テリーナ「でしたら、王様が、何か面白いことをしますよ」
女王「ちょっと! 王様! さっさと来なさい!」
   女王は王様を呼ぶ。
   王様はそわそわしながら近づき、女王にお辞儀をする。
女王「王様! さあ、一発ギャグをなさい。とびきり面白いやつをね」
王様「は、は、はい!」
   王様の一発ギャグ披露。
   女王がしかめ面で手をたたく。
女王「はい、面白くない! 王様はおしおき!」
王様「ちょっと、勘弁してくださいよ!」
王様が土下座をする。
   女王は考え込むように腕組みをして歩き回り、テリーナに聞く。
女王「ねえ、テリーナ、何か面白いことはないの?」
テリーナ「それでは、女王様が大好きな、パーティをご用意します」
   全員が女王に向かって礼をし、女王・王以外が退場。
   妖精リリアンが登場し、舞を踊る。
   女王・王は舞を見る。
   舞が終わり、妖精リリアンは女王の前に立ち、美しく礼をする。
リリアン「わたくしは妖精リリアン。わたくしたち妖精は、美しいダンスを踊り、森に入った人間を、迷わせることができます」
   女王・王は拍手をし、大きくうなずく。
女王「妖精の舞は、やっぱり素晴らしいわ。ねえ、王様」
王「そうそう、その通り」
女王「いつまでも見ていたいわね」
王「そうそう、その通り」
   女王・王は再び拍手をする。
   礼をして妖精リリアン退場。
   白鳥妖精ティファニーが登場し、舞を踊る。
   舞が終わり、白鳥妖精ティファニーは、女王に背中を向けるように舞台に向かって立つ。
ティファニー「わたくしは、白鳥の妖精、ティファニーと申します。私のダンスは、見る者をハッピーにします」
女王「あなた、ちょっと、邪魔よ。立ち移置を考えなさい」
ティファニー「あら失礼、女王様」
   ティファニーは軽くスキップするように後ずさり、女王に向かって可憐に礼をする。
女王「ちょっと、アンタ、私よりも可愛いと思っているの?」
   ティファニーは軽く笑って、胸に手を当ててお辞儀をする。
ティファニー「ウフフ・・・・・はい、女王様」
女王「アンタに用は無いよ、さっさと出ておいき!」
   女王は舞台そでに向かって指さす。
王「二度と来るんじゃないよ!」
   王は舞台そでに向かって指さす。
   ティファニーは軽く会釈し、軽やかにスキップするようにして退場。
第四場 ポンタ入れ替わり
   テリーナが両手に、たぬきポンタ、少年ポンタを連れて登場。
テリーナ「たぬきのポンタが、人間の子どもを連れてきました」
   女王が怒り出す。
女王「嘘つきたぬきのポンタ? 追い出して!」
   王が間に入って取り持つ。
王「ちょっと待って。面白いじゃない。この子、マジムンパワーはあるの?」
   少年ポンタがきょとんとする。
少年ポンタ「マジムンパワー、なにそれ?! おいしいの?」
テリーナ「そうそう、マジムンパワーをさっと炒めてチャンプルーにして、ご飯と味噌汁をつけて・・・って、って食べ物じゃないし!」
   テリーナのノリツッコミで全員でこける。
   たぬきポンタが間を取りなすように入る。
たぬきポンタ「まあまあ、いいかい、よく聞きな。マジムンパワーってのは、マジムンたちが持っている、特別なパワーのことさ!」
   テリーナが間に入る。
テリーナ「それでは、私のマジムンパワーをお見せしましょう」
   テリーナがマジックを披露する。
   少年ポンタが驚き、喜び、拍手をする。
少年ポンタ「すっげえや! 僕もマジムンパワー欲しい!」
たぬきポンタ「じゃあ、教えてやるぞ!」
   たぬきポンタは少年ポンタに耳打ちする。
少年ポンタ「ありがとう、ポンタ、僕、やってみる!」
   少年ポンタとたぬきポンタがともに退場。
   妖精(リリアン、ティファニー)、動物(ライオン、ワシ、トラ)、小悪魔、もったいないお化け、ドラキュラが登場し、音楽に乗って踊る。
   少年ポンタ登場、手にたぬきの皮を持っている。
   中央の少年ポンタはたぬきの皮を身体にくっつける。
   たぬきポンタ退場。
   円がばらけ、少年ポンタはたぬきの皮をまとっている。
少年ポンタ「僕はたぬきだ!」
   全員伏せる。
少年ポンタ「僕は、マジムンたぬきだ! 人間じゃない!」
   少年ポンタは自分の体をまじまじと見て、喜ぶ。
少年ポンタ「みんなをびっくりさせてやろう!」
   少年ポンタ退場。
   たぬきポンタ登場。大きくのびをする。
たぬきポンタ「さあって、おいらはポンタの代わりに、人間界を楽しんでくるとするか」
   たぬきポンタ退場。
   マントをひるがえし、ドラキュラ登場。
ドラキュラ「おーやおや、マジムンパワーを手に入れたい、人間の子どもポンタは、たぬきに化けてしまった。一方、人間の子どもに化けた、たぬきポンタは、何かいたずらを考えているようだ。おや? 子どもポンタを探す人間どもの声が聞こえてくるぞ」
   ドラキュラはマントを大きくひるがえし退場。
   少年ポンタ家族が登場。
   マジムンたちは左右を見回し左右に移動し、隠れるように見守る。
母「ポンタ! どこにいるの? お母さんは怒らないから出てきなさい!」
兄「ポンタ! どこ? いるんでしょ!」
弟「お兄ちゃん!」
警官「我々警察は、全力でポンタくんを探しております。あなたがポンタくんのお母さんですか?」
母「はい。私が母です。よろしくお願いします。ピクニックに家族で来ていたのですが、私がちょっとポンタに怒ってしまい、気づいたらポンタがいなくなってしまって・・・」
兄「ポンタを見つけて下さい」
弟「お願いします!」
   全員で頭を下げる。
   警官退場。
   ポンタ母が天に向かって叫ぶ。
母「お願いだから、ポンタ、帰ってきて! 怒ってしまって、ごめんなさい」
   見かねた少年ポンタがポンタ母の前に飛び出す。
少年ポンタ「謝らなくていいよ、僕が悪いんだ。ごめんなさい、お母さん!」
   母が少年ポンタを見て、驚く。
母「あら、たぬき」
   兄弟が駆け寄る。
   少年ポンタの腕をつかむ。
兄「お母さん、これ、ペットにしてもいい?」
母「止めときなさい。汚いから」
弟「(手を叩いて)たぬき!たぬき!」
少年ポンタ「違うよ、僕はポンタだ。お母さん!」
   たぬきポンタが人間に変装して登場。
たぬきポンタ「おーい!」
   弟がたぬきポンタを見つけ、指を指す。
弟「ポンタ!」
   たぬきポンタが皆に向かって手を振る。
たぬきポンタ「ハーイ! 僕はここにいるよ!」
   母が駆け寄る。手を取り合う二人。
母「ポンタ、どこに行っていたの!」
たぬきポンタ「迷子になったんだ。ごめんね」
   兄弟もたぬきポンタを取り囲む。
兄「本当に良かった、心配したよ」
弟「おかえり、ポンタ!」
   全員はたぬきポンタと手をつなぎ、楽しそうに退場。
   その後ろ姿を見ながら、少年ポンタは膝を崩す。
少年ポンタ「お母さんの子どもは、たぬきじゃない! 僕だ、人間のポンタだ!」
   暗転。
   マントをひるがえし、ドラキュラ登場。
ドラキュラ「どうやら、たぬきは、人間たちをだまして、人間の世界にまんまと行ってしまったようだ。一方の人間ポンタは、とうとう、人間の世界に帰れなくなってしまった。おや? マジムンたちの戦いが始まるようだ。一番強い者を決めるために、マジムンの森では、毎日誰かが戦っている。そして今日も戦いがあるようだ」
   ドラキュラはマントを大きくひるがえし退場。
第五場 人間たちに仕返しだ!
   動物(ライオン、ワシ、トラ)、小悪魔登場。
ライオン「そろそろ、誰が強いか決めようぜ。一番強いのはおいら、ライオンさ」
ワシ「カンムリワシの俺様が一番だ」
トラ「ベンガルトラの僕だぜ」
小悪魔「僕たち悪魔が強いんだ。やーい、弱虫動物め! こっちへおーいで!」
ライオン「今日こそは、負けないからな!」
   ライオン、ワシ、トラ、小悪魔はチャンバラする。
   少年ポンタが登場。チャンバラから逃げるようにして、慌てて隠れる。
   少年ポンタに気付いたライオンが、手を振り、戦いを止めるように合図、合戦が止む。
小悪魔「おーい、たぬき。お前もオレたちの仲間だ!」
ライオン「待て、たぬきは動物の、仲間だ!」
少年ポンタ「(首を振り)嫌だ! 僕は戦いなんて、嫌だ!」
ワシ「何だと!(怒ったように)戦わないなら、出て行け!」
トラ「マジムンの森は、毎日が戦いだ!」
   チャンバラ開始。少年ポンタは後ずさり、退場。
   雷鳴が轟き、神様登場。
   マジムン王、女王、テリーナ、テリーナ、もったいないお化けが控えている。
神様「私は神だ。マジムンの王に話がある」
   テリーナが神の元に歩み寄る。
テリーナ「神様、ご用件は何でございましょうか」
   神様は怒りを爆発させるようにして叫ぶ。
神様「もう、人間どもには我慢がならぬ。彼らは大事な火をゴミを燃やすのに使いよるし、山の木をバッサバッサと切りよる。汚いものをたくさん川や海に流しよるし、挙げ句の果てに、雨を降らせば迷惑と言い、降らさないと文句を言う。ワガママな人間ども、もう、限界だ!」
   もったいないお化けがテリーナに歩み寄り、合図をする。
   テリーナが挙手して話に入る。
テリーナ「あの、もったいないお化けも、言いたいことがあるそうです」
   もったいないお化けが進み出て話し出す。
もったいないお化け「私は人間に捨てられた哀れなゴミでした。まだまだ使えるのに、捨てられたんです。物を大切に使うように、人間たちに言いたいんです」
   神様が大きくうなずく。
神様「時が来たようだ。人間たちに思い知らせてやろう。よいか、マジムン女王」
   女王がお辞儀をする。
女王「はい、仰せの通りに。人間をやっつけてやりましょう」
王「人間を、やっつけよう!」
   雷鳴が轟く。
   全員退場。
   マントをひるがえし、ドラキュラ登場。
ドラキュラ「おーやおや、マジムンの森がさわがしくなってきたぞ。人間たちの勝手な振る舞いに怒ったマジムンたちが、人間たちに仕返しを始めるようだ」
   ドラキュラはマントを大きくひるがえし退場。
   妖精ティファニー、リリアンが踊りながら登場。
   妖精の後を追って少年ポンタ登場。
   そばでこっそり見ている。
   妖精たちが集まる。
ティファニー「ねえねえ、マジムンたちが人間たちに仕返しするって話、どうなった?」
リリアン「確か……マジムンたちが、空と海、そして森から、人間をやっつけると聞いたわ。確か、仕返しの日は、太陽と月が重なる夜よ」
ティファニー「面白いことになってきた!」
   少年ポンタが走り出て、妖精たちにひれ伏す。
少年ポンタ「お願いだ! 人間たちに仕返しをするのは止めてよ!」
   妖精たちはびっくりする。
リリアン「誰か来て! たぬきがいるわ!」
   テリーナが登場し、少年ポンタを両脇から捕らえる。
   少年ポンタは暴れる。
少年ポンタ「僕は人間だ!マジムンパワーなんていらない! お家に帰りたい!」
テリーナ「お前はたぬきのポンタと入れ替わった、人間だな。お家に帰りたいんだな?」
少年ポンタ「帰りたい!」
テリーナ「だめだ、絶対に、帰さない! お前はずっと、たぬきのままだ」
少年ポンタ「ええ?」
ティファニー「あなたが家に帰ってしまうと、マジムンたちのことが人間にばれてしまうの」
リリアン「わたしたちは、人間たちに気付かれないように生きてきたのよ」
ティファニー「このたぬき、どういたしますの?」
テリーナ「ガジュマルの木に、つなぎましょう」
   全員がじりじりと少年ポンタに詰め寄る。
   少年ポンタは、周りを見回して、唐突に空を指して叫ぶ。
少年ポンタ「あっ、ニライカナイの神様だ!」
   全員で空を見上げる。
ティファニー「えっ、どこどこ? どこにいらっしゃるの?」
   全員で空を探すようにきょろきょろと見上げる。
   テリーナは考え込む。
テリーナ「ニライカナイという神様は、確か、ジュゴンに乗って、東の海からやってくると聞いたので、空からではなく海じゃないかと・・・」
   テリーナの話を遮るようにティファニー、リリアンが叫ぶ。
全員「どこにいるの?」
少年ポンタ「ほら、向こうの空!」
   少年ポンタが指さす方向に全員が見つめた瞬間、少年ポンタはテリーナの腕をふりほどき、走って逃げ出し退場。
   少年ポンタが逃げ出したのに気づき、マジムンたちは騒然となる。
全員「追いかけろ!」
   マジムンたちは少年ポンタの後を追って慌てて退場。
   マントをひるがえし、ドラキュラ登場。
ドラキュラ「子どもポンタがマジムンの森から逃げ出そうとしていた、ちょうどその時、たぬきポンタはどうしていたのだろうか。」
   ドラキュラはマントを大きくひるがえし退場。
第六場 人間なんて大嫌い!
   となり町。
   少年ポンタに変装したたぬきポンタは兄弟と一緒に歩きながら登場。
兄「夏休みの宿題、お前はどうした? おれ、全然やってないよ」
弟「何もしてないよ。勉強、嫌だよ」
兄「お母さんは、勉強、勉強、ばっかり言うし」
弟「ほんと、うるさいよね。ずっと遊んでいたいよ」
   たぬきポンタは不思議そうに言う。
たぬきポンタ「嫌なら、しなきゃいいじゃん」
   兄弟は驚く。
兄弟「えー!?」
   たぬきポンタは不思議そうにする。
たぬきポンタ「なんで嫌なのに、勉強するの? しなきゃいいじゃん、ねえ、ねえ」
兄「勉強しないと、お母さんに怒られるよ」
たぬきポンタ「いいじゃん、しなくたって。それより遊ぼうよ!」
兄弟「だーめー!」
たぬきポンタ「なんだよ、お前ら、つまんねえな」
   たぬきポンタは離れて立つ。
兄「ちょっとポンタ、なんてことを言うんだ。悪い言葉使ったらダメだぞ」
たぬきポンタ「うるさいよ、バーカ! 人間なんてつまんねえ!」
   たぬきポンタは怒って退場する。
   兄弟は顔を見合わせる。
弟「変だよね、ポンタ」
兄弟「ポンタ、どうしたの~?」
  兄弟はたぬきポンタを追いかけて退場。
  たぬきポンタが怒りながら登場。
  兄弟が追いかけて登場。
兄「ポンタ、待ってよ!」
たぬきポンタ「いーだ! みんなバーカ! 知ーらない!」
   たぬきポンタは兄弟をにらみつけて離れて立つ。
たぬきポンタ「父さんも、母さんも、兄ちゃんも、リンも、みーんな、大嫌い!」
   たぬきポンタは怒ったように仁王立ちする。
たぬきポンタ「あーあ、こんなことなら、人間になるんじゃ無かった!」
   たぬきポンタはあぐらをかいて座り込む。
   兄弟は集まる。
兄「ねえ、今『人間になるんじゃなかった』って言ってたよね?」
弟「うん。聞いた」
兄「いつものポンタと、どこか違うよね。それって、もしかして・・・」
   兄弟は顔を見合わせる。
兄弟「ポンタ、じゃ、ない?」
   兄弟はたぬきポンタを見る。
   たぬきポンタは大きく伸びをする。
たぬきポンタ「あ~あ、たぬきに戻りたい!」
   たぬきポンタはごろりと横になる。
   兄弟は驚く。
兄弟「たぬき!」
   暗転。
第七場 立ち上がれポンタ
   マジムンの森。
   少年ポンタが転がるように走って登場。
   肩を上下させて息をぜいぜいする。
少年ポンタ「どうしよう。道が全然分からない」
   ライオン、ワシ、トラ登場。
ライオン「どうした、ポンタ。元気がないぞ」
   少年ポンタは動物たちの前で土下座する。
少年ポンタ「僕は人間たちを助けたい。だけど、僕の身体はたぬきだ。僕の話を誰も聞いてくれない!」
   動物たちは顔を見合わせる。
ワシ「僕たち動物は、マジムンたちの仕返しには反対だ」
トラ「人間も動物だ。俺たちの仲間だ」
ライオン「ポンタ、逃げずに立ち向かえ」
少年ポンタ「だけど・・・マジムンたちが怖いよ」
   少年ポンタは背を向ける。
ワシ「お前の姿はたぬきだが、心は人間だ。お前なら家族や兄弟を助けられる」
   少年ポンタはハッとして振り向く。
少年ポンタ「母さん! みんなが危ない!」
   トラが説き伏せるように言う。
トラ「逃げちゃダメだ! さあ、言え!」
少年ポンタ「逃げちゃダメだ!」
動物全員「立ち向かえ!」
少年ポンタ「立ち向かえ!」
動物全員「僕は人間だ!」
少年ポンタ「僕は人間だ!(思い出したように)僕は人間だ、そうだ、僕は人間だ!」
   ライオンが舞台そでを指して言う。
ライオン「マジムンたちに言ってこい、自分は人間だと」
   少年ポンタがこぶしを天に突き上げ、叫ぶ。
少年ポンタ「僕は人間のポンタだ! 人間たちを守るのは僕だ!」
   暗転。
   マジムンたちが列になって登場。こぶしを振り上げてスローガンのように叫ぶ。
全員「人間たちをやっつけろ!」
   マジムン女王、王が先頭になり、妖精、小悪魔、もったいないお化け、ドラキュラが大集合する。
   少年ポンタが走り出て登場。
   マジムン女王の前に片膝をつく。
少年ポンタ「マジムンの女王様、お願いです。今夜の仕返しを、延期してください!」
マジムン女王「女王の前に出るなんて、無礼よ。熱でもあるんじゃないの、たぬき。テリーナ、つまみ出しなさい」
   テリーナが少年ポンタに近寄る。
   少年ポンタは後ずさる。
少年ポンタ「違うんだ、僕はたぬきじゃない、人間だ!」
   マジムンたちはどっと笑う。
マジムン女王「ほーらほら、いつもの、たぬきポンタの嘘が始まった」
王「嘘つきたぬき、やーい」
   マジムンたちはどっと笑う。
   マジムン女王が手を挙げると笑いが止まる。
女王「みんな、いくよ!」
   全員、コブシを天に突き上げる。
全員「オー!」
女王「準備はいい?」
   全員、コブシを天に突き上げる。
全員「人間たちを、やっつけろ!」
   マジムンたちは床を踏みならす。
   床を踏みならしながらマジムンたちは整列する。
   少年ポンタは後ずさりして退場。
   マジムンは全員列をなして行進し、舞台を回り退場。
   マントをひるがえし、ドラキュラ登場。
ドラキュラ「いよいよ、マジムンたちが、人間たちに仕返しをする日がやってきたようだ。おや? 子どもポンタの兄弟たちが、たぬきポンタのあとをつけて、マジムンの森に迷い込んできたようだぞ」
   ドラキュラはマントを大きくひるがえし退場。
   ポンタ兄弟登場。
   手に武器(棒)を持っている。
兄「今、ポンタの声がしたよね」
弟「お兄ちゃんの声だった」
   少年ポンタが登場。
少年ポンタ「お兄ちゃん、リン!」
   少年ポンタが兄弟に駆け寄る。
少年ポンタ「来てくれたんだ! ありがとう!」
兄「たぬきがしゃべった! ・・・ううん、ポンタの声だ!」
兄弟「ポンタだ!」
   兄弟は少年ポンタの肩を揺さぶる。
兄「たぬきに見えるけど、ポンタだ」
兄弟「ポンタだ!」
   兄弟は喜ぶ。
   少年ポンタは兄弟から離れて立ち、天に向かって叫ぶ。
少年ポンタ「マジムンパワーなんかいらない! 僕は人間のポンタだ!」
   少年ポンタは、大声で叫ぶと、自分の身体の皮を剥がす。たぬきの皮が取れていく。
   たぬきポンタが登場。
たぬきポンタ「ハーイ。ばれちゃったね」
   兄弟、たぬきポンタを指さす。
兄「本当に、たぬき、だったんだ!」
   たぬきポンタはくるりと回る。
たぬきポンタ「そうさ。おいらはマジムンの、たぬきのポンタさ!」
   たぬきポンタの後ろにいた小悪魔が前に出る。
小悪魔「人間と分かれば帰すわけにはいかないな。やっちまえ!」
   少年ポンタ・兄弟・マジムンたちのチャンバラ合戦。
   どちらも互角に戦い、決着がつかない。
   やがて双方にらみ合いだけになる。
第八場 戦い終わって
   雷鳴が轟く。
   マジムン女王、王、神、もったいないお化け、テリーナ登場。
女王「あんたたち、止めな!」
   マジムンたちは動きを止める。
王「つまらないけんかは、するんじゃないよ」
テリーナ「ポンタ、こっちに来て!」
   テリーナがたぬきポンタ、少年ポンタの腕を引っ張り、マジムン女王・王の前に立たせる。
女王「どっちがポンタなの?」
   少年ポンタが手を挙げる。
少年ポンタ「僕は、人間のポンタです!」
   たぬきポンタが頭をかきながら答える。
たぬきポンタ「おいらは、たぬきのポンタだ」
女王「つまらないけんかはやめて、言いたいことがあるなら、さっさと言いなさい」
たぬきポンタ「おいらは人間が嫌いだ。人間は、勉強だ、兄弟と仲良くしなさいって、うるさいんだ」
少年ポンタ「でも人間には大事なことなんだ」
兄弟「大事なことだ!」
   少年ポンタがマジムン女王の前に歩み出る。
少年ポンタ「マジムンの女王様。人間はひどい動物かもしれません。でも、人間はやり直すことができるんです」
兄弟「やり直すことができる!」
少年ポンタ「これからは森を大切にします」
兄弟「大切にするよ!」
   神様、もったいないお化けがうなずく。
少年ポンタ「だから、仕返しはやめて欲しいんだ」
   兄弟全員は武器を投げ捨てる。
   女王は少年ポンタ・兄弟をじろじろ見る。
女王「ふーん、本当かしら」
少年ポンタ・兄弟「本当だよ!」
女王「・・・じゃあ、約束を破ったときは、仕返しするわよ」
   王が気合いを入れて叫ぶ。   
王「そのときは・・・倍返しだ!」
   一同一瞬静かになる。
   少年ポンタ、兄弟は手をつなぐ。
少年ポンタ・兄弟「さようなら!」
   少年ポンタ・兄弟全員、退場。
   テリーナが手を叩く。
テリーナ「それでは、パーティの続きを始めましょう!」
   全員踊りながら退場。
第九場 夢から覚めて
   森のはずれ。
   少年ポンタが舞台中央で横になっている。
   少年ポンタは背伸びをする。
少年ポンタ「あーあ、よく寝た」
   母、兄弟、警官登場。
   少年ポンタが母・兄弟に気づいて飛び起きる。
少年ポンタ「お、母さん。みんな・・・」
母「ポンタ、探したのよ。もうお昼ご飯よ」
弟「お兄ちゃん、お腹空いたよ」
兄「ポンタ、早くご飯食べようぜ」
警官「(無線で)たった今、ポンタくんを発見しました。本部応答願います、どうぞ」
   警官は無線に応答し、話しかけながら退場。
   少年ポンタは左右を不思議そうに見回す。
少年ポンタ「あれ、マジムンたちは? たぬきのポンタは?」
母「ポンタ、何寝ぼけたこと言ってんの。熱でもあるんじゃないの?」
   少年ポンタは自分の身体を見て、驚く。
少年ポンタ「僕の身体、人間になってる! 僕はたぬきじゃない、人間だ!」
   母があきれた様子でポンタに言う。
母「はいはい、人間たぬき。ご飯食べるよ!」
   少年ポンタは思い出したように大きくうなずく。
少年ポンタ「そうだ、僕はマジムンたちと約束したんだ。森を大切にするって」
   母は風呂敷から弁当包みを出し、並べ始め、独り言のように言う。
母「はいはい、森は大事。ご飯も大事。さあ食べましょう。ポンタ、残念ながら、お昼ご飯はおにぎりだからね。サンドイッチじゃないなら食べない! って怒って逃げたりして。無いものは無いんだよ」
少年ポンタ「僕、そんなこと言ったっけ? それより、お母さん、ゴミ拾いしていい? お兄ちゃんもリンも一緒にゴミ拾いしよう!」
   兄弟は面白がって敬礼する。
兄弟「了解!」
少年ポンタ「さあ、ゴミ拾いに出発!」
   少年ポンタ・兄弟は行進しながら元気よく退場。
母「ちょっと、あんたたち、ゴミ拾いの前に、お昼ご飯が先!」
   母は兄弟たちを追いかけるように退場。
第十場 ドラキュラ最後のあいさつ
   マジムンの森。
   ドラキュラがマントをひるがえして登場。
ドラキュラ「さて、マジムンたちの仕返しが、一体どうなったのかって? そうだなあ・・・ひとまず、今回だけは、何もなかった、と言っておこう。だが、今後、人間たちが自然を大切にしないと、どうなるか・・・おっと、これ以上は秘密だ。さて、次の獲物を探すとするか。では、失礼」
   ドラキュラはうやうやしく敬礼し、退場。
 
 
 
◆執筆後記
子ども劇用戯曲として制作。一度だけ某場所で45分の舞台劇として上演された。オーソドックスな入れ替わり譚。

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