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豆乳ヨーグルトと秋の頃

幼い頃の記憶である。

確か祖父母と同居していた頃のことだと思う。
台所に立った母が、家族分の真白いヨーグルトを小ぶりな器によそい、フルーツソースをかける。
それを受け取った私が、何も考えずに、添えられたスプーンでヨーグルトとソースをグルグルとかき混ぜた。
白いヨーグルトが赤いソースの渦に飲み込まれ、やがて侵食される。グルグル、グルグル・・・・・・。
その様子を見た母は、私を叱責した。
「ヨーグルトの食べ方はそうじゃない!」
母の剣幕に驚き呆然としている私に、
「ヨーグルトとソースは、混ぜずに、食べる!」
母はそう言って、ヨーグルトを混ぜることなく、うまくスプーンですくい上げ、あっという間に平らげていた。

私の中のヨーグルト原風景。

これが契機なのかは知らないが、ヨーグルトは私にとって高嶺の花である。
ヨーグルトソースをかけるときに、また食べる時に、時々、ドキドキしてしまうのだ。混ぜても怒られないと分かっているのに、記憶というのは不思議なものである。


そんな私のドキドキを克服すべく、自分でヨーグルトを作ってみることにした。


噂の「豆乳ヨーグルト」である。発酵した玄米を豆乳と混ぜてグルグルすると、豆乳が固まるという、豆乳ヨーグルトである。


さて、「レッツクッキング!」と、意気揚々で作ってみたものの、さすがズボラなO型人間、元種の管理をずさんにしたためであろうか、出来上がった物はすこぶる臭く、食えたものでは無かった。


「こんなはずじゃ無かった!」
何度も心で叫んだが、後の祭りである。


「失敗は成功の元・・・・・・♪」
と果敢に再度挑戦するも、またもや失敗し、みかねて天を仰ぐ。


「どうすれば、いいの?」
アタックナンバーワン(古!)のヒロインよろしく、しばしうなだれていた私は、ひらめいた。


「発酵する玄米の乳酸菌で豆乳が固まるのなら、乳酸菌の食べ物を入れればいい・・・・・・?」


私は迷わず冷蔵庫からキムチを取り出し、タッパーに流し込んだ豆乳の中にこれを少しだけ放り込み、グルグルと混ぜ、放置。
これを一昼夜おいたものが、完成品(写真)である。



豆乳ヨーグルト・・・・・・ではない。
元種はキムチである。
豆乳キムチヨーグルト・・・・・・?
でも、無いような気もする。


ヨーグルトのつもりで蜂蜜をかけようと思ったが、慌てて自制し、ゴマと酢醤油をかけてみた。

驚いた。すこぶる旨い。
豆乳臭さは一切無く、キムチの風味である。食感のなめらかさは絹ごし豆腐のようである。
豆乳ヨーグルト独特の微炭酸(シュワシュワ)も感じる。
大人にはわさび醤油、子どもにはポン酢でもいけそうである。ヨーグルトのおやつ感ではなく、完全に夕飯の一品である。


私は感嘆した。
豆乳も凄いが、発酵食品を考え出した人も凄い。
発酵食品(漬け物)×豆乳のコラボは、もはや無限大である。


キムチの次は、柴漬け、たくあん、べったら漬け・・・・・・元種となる漬け物は沢山ありそうだ。


豆乳恐るべし。
豆乳への賛美が尽きなかったが、自分が作ったものが一体何なのか、答えが出なかった。


豆腐? ヨーグルト? はて。


ドキドキの克服はどこへやら。
やたらとクエスチョンマークの並ぶ、秋の頃であった。

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