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【架空請求の体験談】ウレシ・ハズカシ・出会い系!

 


 

 深夜、携帯電話のメールボックスを開いた私の目に飛び込んできたのは、次の衝撃的な文面に始まる一通のメールだった――。

☆コイスタ☆からのお知らせ
潤☆彡さんより ゲストさんにメールが届きました。(以下省略――)

(以下、便宜上、メール文面を分割・一部割愛、要所を太字にして掲載)

 

 メール件名 「潤☆彡さんからのメッセージ」

 

 一瞬、私の目は驚きで大きく広がり、やがて点になった。

 ――誰?

 全くもって聞き覚えの無い名前だ。
 一生懸命考えてみたが、思い出せず、首をひねるばかりである。
 知人の中に「潤」と名乗る中でこのような場面でメールを送ってくる方は、本名・ハンドルネームを含めて存在しない。一体誰なのであろう。

 「潤」という名前で思いつくのは、懐メロ好きな私には、「翼をください」を歌っているハイ・ファイ・セットの山本潤子さんを最も想起しやすく、続いてネプチューンの名倉潤氏くらい、と流行にイケていない私の相場は決まっている。
 ましてや、今をときめく花の女子高生のように「もちろん松潤♪」となるはずは毛頭無い。

 ジャニーズにとことん疎く、メンバーの区別をほとんどつけることの出来ない私が
「きゃっ☆松本潤からメールが来た♪」
 と若々しい甲高い嬌声を上げ、おびただしく取り付けられた可愛らしいぬいぐるみのストラップを振り回し、キラキラとピンクのモザイクでデコレーションした携帯電話をお手玉のように放り投げ、きゃっきゃっと大喜びする――はずは決して無い。

 私という人間、着信音に森山加代子の「白い蝶のサンバ」という年齢不相応な懐メロを用いるあたり、「潤」氏なる者からのメールに狂奔する可能性は、もはや限りなくゼロに近い。
 しかし、そうは言っても、もしも仮に、

メール件名 「森鴎外さんからのメッセージ」

 こう書かれていたら、まず間違いなく、携帯電話を天に掲げ、「ヒーハー!」とブラマヨ小杉の決め台詞を心の底から大声で叫びながら、喜びを全身で表現するかもしれない。
 鴎外からメールが届くなんて、なんて夢のよう! 私、とっても幸せ!
 そうなったら、私は迷わずメールを開封し、提示されたURLなどを躊躇なくクリックしてしまうかもしれない。今は亡き明治時代の文豪・森鴎外との夢のコミュニケーションがいざ目の前に――

 私は激しく首を振り携帯を取り落とす。
 ああ、それはダメ。ダメなのよ! クリックしちゃダメなの!

 松潤氏を連想させる「潤」氏なる者の名前を見ただけで、胸をときめかせてクリックしてしまいかねない、純粋な乙女心に付け込んだ意味深なメール件名に、私はよもや悪意を感じずにはいられない。

 いや――よく見ると、名前は「潤」氏ではなかった。「潤」以外に色々な文字がくっついておる。

潤☆彡

 なんて斬新な名前なの!

 その余りの斬新さに満面に笑みがこぼれてくる。素敵、素敵すぎる。

 名前に「☆」が入る時点で、思わず「お前はつのだ☆ひろか!」とツッコミたくなるのは、古き良き昭和の時代背景を思わせ、悲哀を感じてしまう。
 思わず、「名前に星を入れる時点でナウい☆わヨネ」という、死語のオンパレードのツッコミしそうになり、私は慌てて口をつぐんだ。

 「彡」

 これは一体何と読むのだろう。
 「猫の引っかき傷か?」と我が腕に残る愛猫の容赦無い引っかき傷の形状を思い出し、「そうか、これは引っかき傷と読むのか」と合点したが、さすがに違うだろうと思い直し、ちゃんと調べると「さんづくり」という立派な呼称を与えられていることを知った。
 何と日本語とは深遠なことか。思わずパソコンのブラウザを見入り、感心してしまった。

 しかしながら、これら名前を名前に到底入るとは思えない、不可思議な記号の文字列を持つ見ず知らずの御方を、一体何とお呼びすればよいのか。

「ジュン・ホシ・サンヅクリ」

 何だか異国情緒がプンプン漂い始めた。
 このような外国名を見ると、海岸沿いで流れ着いた外国製の見慣れない古びた小瓶を拾ったような、胸をときめかせる高揚した気分になり、やたら嬉しく、ルンバのステップでも踏みたくなる。

 もしや――
 アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ・・・似ている気もする。ひょっとしたら、フランス人か。きっと、サラサラ金髪ヘアの青い目の美青年。間違いない。
 ムンフバト・ダヴァジャルガル・・・白鵬の本名である。モンゴル人の可能性もアリ、とせねばならない。いかつい体躯をした細い目の巨漢か。なるほど。
 ムーディ・グー・ダンディ・ゲッツ・フォー・ラララライ・・・ふと、一時期、世間を時めかせた悲哀すぎる合言葉を紡ぎ出し、私は切なくなり涙をこぼしそうになった。

 ――メール件名だけでツッコミすぎて大幅な紙面を割いてしまった。話が先に進まないのではと、ヒヤリと冷や汗ひとつに今から危惧してしまう。

 ☆コイスタ☆からのお知らせ
 潤☆彡さんより
 ゲストさんにメールが届きました。

 「コイスタ」とは、調べたところ、出会い系サイトのようである。

 ――出会い系サイト? はて、と私は首をかしげた。

 出会い系サイトには全く縁のない私にとって、なぜ出会い系サイトからメールが届いたのかが分からない。
 知らないものは調べるしかない、と思い、調べることにした。

 そもそも出会い系サイトとは、出会い系サイト規制法(インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律)第2条第1項第2号によって規定された、「インターネット異性紹介事業」である。
 この「インターネット異性紹介事業」とは、

①異性交際(面識のない異性との交際をいう。以下同じ。)を希望する者(以下「異性交際希望者」という。)の求めに応じ、
②その異性交際に関する情報を、インターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達し、
③かつ、当該情報の伝達を受けた異性交際希望者が電子メールその他の電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下同じ。)を利用して
④当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする役務を提供する事業をいう。

 ――らしい。法律上の形式的な字面だけを追えば、イカガワシサは微塵も感じられない。出会い系の一体何が問題なのだろうか。
 疑問に思いつつ、読み進める。

 本日、Pt還元1.5倍!!
 コイスタキャンペーン実施中♪

 「Pt」とは、どうやら「ポイント」のことであるらしい。
 出会い系に疎い私であるが、調べていくうちに、色々と分かってきた。

 出会い系サイトでは、ポイント制を導入し、有料でメールをやり取りするらしい。

 新聞によると、消費生活センターに寄せられた相談の中で、ある男性は、「出会い系サイトを利用して女性とメール交換を続けたところ、利用料金を示すポイントが膨れ上がって約1200万円に達し、請求通りカードで支払った」という。

 自分自身に降りかかったら、と想像するだけで、身震いを禁じえないゾッとする話である。例えるなら、狩野英孝やダンディ坂野のギャグ並みに打ち水効果のある冷ややかさであろうか。17℃に設定した冬場のクーラーか。寒すぎる。

 しかし、このポイント加算。1200万円とは一人の人間の費やしたお金とすれば想像を絶する被害額である。どこかで歯止めをかけることは出来なかったのか。

 恐らくきっと。残り少ないポイントの段階で、男性に更なるポイントを購入させるために、「今度、私の写真を送るね☆」と、サクラなる人間は写真をエサにポイントを費やさせたのではないか。サクラのでっち上げた架空の情報を被害者への見せ餌にしているのであるから、さながら釣竿の先に取り付けられた疑似餌か。被害者への人権侵害も甚だしい。

 「他者と出会いたい」という純粋な想いを抱きながらネットの大海を泳ぎ、運悪くも、出会い系サクラの撒いた美味な疑似餌に引っ掛かり、哀れにも釣り上がる人々。
 騙されたと知ったときの被害者の苦しみはいかばかりか。何とも痛ましい話である。
 有料と知りつつ利用したとしても、これほどの高額ではまさに不当請求である。

 不当請求――? まさか、不当請求を予感させるポイント制を示すメールが私のもとに届いたなんて。

 嗚呼、不当請求なんて、まるで夢のよう! 

 大体、記憶の片鱗にも引っ掛からない、全く見覚えの無いサイトからのメールが届くなんて、何だかスパイ大作戦のようなスリルを感じずにはいられず、心が浮き立ってくる。

 女スパイとなれば私はついに峰不二子ね――

 「ここはせめてチャーリーズ・エンジェルだろ」と時代に取り残されそうな自分自身にツッコミしながら、花も恥らうほどに頬を美しく紅潮させてメールを読みふける。

[タイトル] はじめまして
[内容を読む(無料)] 
http://koista.biz/cgi/get_mesg(略)

 「はじめまして」
 やはり見知らぬ人だったのね。ジュン・ホシ・サンヅクリさん。

 書きながらどうしても脳裏を、フランケンシュタインの特殊メイクをしたチェ・ホンマンの巨体が横切る。慌てて何度も首を振る。彼じゃない。違う。違うのよ!

 それにしても、「内容を読む」の後にある「無料」の文字の意味深なことよ。
 「今だけ無料、後ほど有料」と言わんばかりではないか。これぞさすが、不当請求の香り。その淫靡さ、確実にムスクの芳香である。
 内容がサイトクリックを誘導するURLということも、意味深さに拍車を掛けている。

CP詳細はログイン後画面よりご確認下さい。

 はて、「CP」とは何のことであろうか。私には見当もつかない。全く分からない。

 Cats for Party ・・・猫のための会。猫会とでもすべきか。薄汚い雑種の飢えた猫たちが、深夜丑三つ時に、路地裏の自販機のゴミ捨て場にたむろする、なんて、いささかほのぼの感が否めない。どうも不当請求とは相容れない和やかさだ。
 せめて、「女豹の会」としたほうが、いかにもイカガワシく、いかにも不当請求っぽい。

 Cute and Pretty ・・・覚えたての単語を並べた中学生か、と思わず自分自身を嘆いてしまった。このような類い稀な可愛らしい呼称を与えられて相応しいのは、ブリトニーくらいなものか(浜田氏ではなくスピアーズ)。

 さて、「CP」について連想しうるネタも尽きたところで、この略語が一体何を意味するのか調べたところ、やはりイマイチ分からず、答えを絞り込めなかった。

 中央処理装置 (central processor)
 コストパフォーマンス (cost performance)
 コードページ (Code Page)
 CP対称性 (charge, parity)
 制約プログラミング(constraint programming)
 制御プログラム(control program)
 CP/M (Control Program for Microprocessor) 
・・・他

 多言語かと勘違いしがちなほどに、全く持って意味が分からない略語群。まさに「どうでもいいですよ」とだいたひかるのネタで応戦したくなる。

 ログイン後画面よりご確認下さい。

 なるほど。さすが、上手いやり口だ。
 私のように「CP」について疑問を持った者が、煩悶する頭を抱え、涙ながらに叫ぶ。

 「CP」とは、一体何なんだ?! 誰か教えてくれないか!
 女豹の会か、それともセントラルパークか。
 私にはどうしても分からないんだ!

 そして、はたと思い当たる。

 ログイン後画面で確認

 なるほど、提示されているURLをクリックし、一度ログインしてから「CP」が何たるかを確認すれば、この七転八倒の懊悩の漆黒の闇の中に、ついに一条の光が差し、自らの苦悩させる疑問から解放されるのではあるまいか。

 善は急げだ。さあ、クリックして確認しよう!

 喜びで満面の笑みを浮かべ、歓喜の雄たけびを上げながら、思わずクリックしそうになり、慌てて思い止まる。
 危ない、危ない。もう少しで不当請求の落とし穴にはまるところだった。私は自らを厳しく叱責した。

※安心・安全宣言※
当サイトはワンクリック請求後払い利用など悪質なサイトで多発しているような不当な運営は一切行っておりませんので、安心してご利用頂けます

 そうなんだ! 安心・安全なサイトだったの? 私、何も知らなかった! それならそうと、もっと早く教えてくれたら、良かったのに! 「不当請求」なのかと思って、ビクビク怯えてしまったじゃん! もう、ぬか喜びならぬ、ぬか恐がりさせちゃって☆

 「もう、照れ屋さんなんだから♪」と打ち込もうとして、「もう照屋三男だから」と誤変換してしまい、「アイヤー、照屋さんちの三男坊はガレッジセールのゴリだったかねー」と思わず沖縄訛りで呟いてしまった。

 ――誤変換の文字列を見てツッコミした瞬間、私はふっと我に返った。

 そもそも、なぜ。

 出会い系サイトに一度たりともアクセスしていない私に、なぜ出会い系メールがとどいたのか――

 ――私は様々なことに思い巡らせた。

 私の苦手なものトップ3は、以下のラインナップが殿堂入りである。
 「ヤクザ、犬、コンピューター・ウイルス」

 理由は書くと長くなるので敢えて述べないが、ベストジーニストの草なぎ氏の殿堂入りぐらいに押しも押されぬ不動の評価である。これら3つともに他者を威嚇し鋭い牙を持つ獰猛さを、私は最も苦手としている。

 したがって、コンピューター・ウイルスに対しとてつもなく怯える私は、ウイルスソフト類の定期的なワクチン注入を欠かすことは無い。慎重に取り扱っているためか、これまでマイパソコンがコンピューター・ウイルスに罹患したことは一度たりとも無い。

 しかし、東京に住んでいた頃は、光回線の常時接続のためなのか、イマイチよくは分からないが、よくマイパソコンはウイルス攻撃を受けていた。

 パソコンを起動しているとすぐさま、緊急事態を示す表記とともにノートン・インターネットセキュリティの小さなウインドウが立ち上がり、「ただ今、コンピューターがアタックされています」「ただ今脅威を遮断しています」とリアルタイムで報告されるのである。
 世界地図とともに示されたネットハッキングの攻撃の発信地は、毎回、中国・韓国・インドネシアなどのアジア圏であったのだが、この、取るに足らない小説やエッセイ、夕飯のレシピ程度のファイルしか存在しないちっぽけなパーソナルコンピュータに、よもや国家機密などあるはずも無いのだが、なぜ絶えず攻撃されたのかは、未だに謎である。
 アメリカのCIAか、イスラエルのモサドか、どこかの国家機関のチップが誤ってマイパソコンに埋め込まれているのか、と、パソコンを何度もひっくり返して確認したが、何らの痕跡も発見することは出来なかった。

 全てのコンピュータ攻撃はノートンという優秀なウイルスソフトのお陰で、事なきを得たが、この貴重な経験は、私にコンピューターウイルスに対するとてつもない恐怖心を植え付けてしまった。

 何とまあ、コンピュータ・ウイルスとは恐ろしいものか。

 しみじみと述懐する私には、一ミクロンもコンピューターウイルスの危険のあるサイトへは近寄らない習慣が身に付いている。
 ノートンによる「サイトの安全性」を確認するまでは、どんなサイトでもアクセスしない。

 それはあたかも、モグラ叩きを行う際に、「これは確実にモグラである」と、露わに身を乗り出したモグラの完全体を確認するまでは、穴から飛び出したモグラを決して叩かない、“石橋を叩いて渡る”慎重さに酷似している。
 そのために、モグラの完全体を目撃する前に、モグラ叩きの時間制限は疾うに過ぎ行きゲームオーバーと相成ってしまうのである。これは、鈍い運動神経の言い訳に充当された再三の安全確認という慎重さに起因するためであり、この慎重さが私自身に存在する限りにおいては、安易に不審なサイトにアクセスすることは無い。

 まして、ウイルスの蔓延していると思われるアダルトサイト、出会い系サイト、某巨大掲示板などは、恐れ慄く私はアクセスする勇気さえない。
 グーグルを検索するとたまに見かける、ノートンのサイトの安全性報告で50以上ものウイルスの脅威にさらされたサイトなどは、そのおぞましさから身震いを禁じえない。
 その危険性たるや、心霊スポットの古いトンネルや廃病院のようである。「DENGER!」と刻印された文字が3Dかと見紛うばかりに異様に浮き出し、どこかしら鬼気迫るように妖しく光っているような気さえする。
 さわらぬ神に祟りなし。これは私のモットーである。

 さて、このようにコンピューター・ウイルスに怯える私は、ウイルス感染の危険を冒してまで出会い系サイトにアクセスすることは無い。
 ゆえに、出会い系サイトにアクセスした記憶は一切無いのである。それなのに、なぜか送られてきたメール。全く持って謎である。

※お問合せ・受信設定・退会申請はログイン後のメニューより行って下さい。

 「そんなバカな!」 私は思わず大声で叫んだ。

 「退会申請」をしなければならないということは――

 私は既に入会しているの?!

 アクセスした記憶もない出会い系サイトに、なぜ私が入会しているというのだ。嘘だ。冤罪だ。ノットギルティーだ。
 ――ここまで考えて私はあっと叫んだ。

 既に入会しているのなら、
 
これから退会すればいいんだ♪

 なぁんだ、ビックリして損した。そうよね、既に入会しているなら、「退会」すればいいだけじゃん。毎度ながらの、ぬか喜びじゃなくて、ぬか恐がりに苦笑する。
 「不当請求」されるのかと思って無駄に焦って怯えてしまったなんて、なんか悔しい。思わず「悔しいです! 気をつけなはれや!」と芸人のギャグを飛ばしたくなった。

 それじゃ、退会申請するために、サイトにアクセスしようかな――

 思わずクリックしようとした私の手が止まった。

 もしサイトにアクセスしたとして「退会します」をクリックした瞬間、「入会」扱いになってしまったらどうしよう

 私の恐怖心は最高潮になった。クリックする携帯電話を持つ手が震えてくる。
 危険だ、危険すぎる。頭の中で「DENGER!」の黄色ランプがフル回転で点灯している。クリックしてはいけない。クリックしちゃダメだ。

 退会することで入会させられるこの「ワンクリック詐欺」は、「退会催促型ワンクリック詐欺」とでも言おうか。

 なんて恐ろしいトラップ! これぞ悪質出会い系。
 私は天を仰ぎ、怒号を上げた。

 これ全然「安心・安全宣言」と違う!

 一度たりとも出会い系サイトにアクセスしていないにもかかわらず、大切に保守して来た携帯電話のメールアドレスがどこかで漏れ、さらに既に入会を匂わせ退会申請へとクリックを誘う、これのどこが「安心・安全宣言」なのだ!

 不倫の美人局に脅迫されるダメ男を演じたらピカイチのマイケル・ダグラスなら確実にはまりそうな罠である。これは危ない。危ないところだった・・・。

 全く持って、シンジラレナイ!

 驚愕で震える身を立て直すために、大西ライオンの「心配ないさ~」を叫んでみたが、時既に遅し、私の背中を大量の冷や汗が滝のように流れ落ちてゆく――。
 携帯電話を持つ手から徐々に力が抜け、私は深々とため息を漏らした。

 

 それにしても恐ろしい出会い系サイト。

 対処としては、私のように、全く見覚えの無いサイトから届いたメールであれば、完全無視である。
 提示されたURLをもし誤ってクリックしてしまい請求が届いたとしても、ワンクリック(請求)詐欺は、架空請求であり、無視して構わない。
 有料であることを知っていたが法外な高額な利用料を請求された場合には、利用料の減額交渉をする。

 また、もし万一、支払ってしまった場合には、支払ったお金を取り戻すべく、業者と返金交渉を行わねばならない。その場合には、サイトから送られてきたメールやサイトのデータをメモリーなどに保存しておき、証拠を確保しておくことが重要である。

 

 それにしても恐ろしい出会いサイト。

 アクセスした記憶すら無いサイトであるのに、なぜメールが届いたのであろうか。一体どこから私の携帯電話のメールアドレスが漏れたのであろうか。
 ランダムな文字列で組み合わせたメールアドレスに送信したのであろうか。
 あるいは――。

 私の中でかつての忌まわしい記憶が、ことごとく脳裏に蘇った。

 いつだったか、大手都市銀行で通帳を作っていた私が、この銀行のサイトで取引通知をするメールマガジンに登録したところ、すぐに迷惑メールが湯水のように届いたことを。
 メールにはこの一社のメールマガジンのみしか登録していなかったことから、私はこの迷惑メール事件を、この大手都市銀行の何らかの不手際によりメールアドレスを迷惑メール業者に漏えいしたものと疑ってやまない。

 今回もそうではないか。
 思い起こせば、つい先日、某コンビニのポイントカードのサイトでメールアドレスを登録したばかりである。
 いや、まさか、そんな。こんなに簡単に情報漏えいが行われるのであろうか。
 何ともゾッとする話である。

 これ以上のメール着信を恐れた私は、当該出会い系サイトのメールアドレスのドメイン拒否をメール受信設定し、ようやく一安心した。

 それにしても、どんなに信用の置ける大手のサイトであっても、情報漏えいの可能性がある、と仮定し、むやみやたらに自己のメールアドレスを登録してはならないと、自戒を強く込めずにはいられない。

 自己の身は自己で守る。
 ネットにおける自己責任、という言葉が重くのしかかる。

 火の無いところに煙の立つインターネット。
 ただただ、恐るべき時代である。


この世に生れ落ちた人間は本来孤独である。しかしそれを忌み恐れて他人を求め、そして出逢う。この神聖なる出会いに付け入る隙を、悪徳業者は虎視眈々と狙っている。「写真素材 足成」さまより画像借用。

◆ 気まぐれなる追記 ◆

 コイスタ・出会い系メールの対処法としては、

 携帯電話のメールアドレスのドメイン拒否 

 これが一番の有効な対処法ではないかと思う。
 以下、参考までに携帯電話各社のドメイン拒否のページを載せておいた。

 NTTドコモ iモードから受信/拒否の設定

 au 指定拒否機能

 SoftBank 迷惑メール対策

※ドメイン拒否をするには、送られてきた「info@koista.biz」などのメールアドレスそのものを登録するのではなく、@koista.biz」と@マーク以降を登録すると、ドメイン拒否となるそうだ。

 ご参考までに。

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エッセイ:架空請求の体験談」カテゴリの記事

コメント

実は私、携帯に「コイスタ」からのメールが毎日のように届いているのです。しかし、「コイスタ」の名前自体知らないので、「どうせ悪徳な出会い系サイトだ。送信したら途方もない金を取られるに決まっている」と思い、送信したことは1回もありません。「2億円持ってる」とか「28000ポイントが無効になる」とかも言われました。「28000ポイント?何それ」と思いました。
極め付けが「銀行口座」云々いうメールもありました。
とにかく「コイスタ」からのメールの送信は、絶対ご法度です。うまい話などあるはずがありません。「68億分の1に選ばれた」などという話には、決して乗らないでくださいよ!

最高です!楽しく読ませていただきました(笑)

私のところにもこの業者からメールがきました。私も、「あんた、誰???」
と思いましたよ。携帯を持って10数年経ちますが迷惑メールは初です。気持
ち悪いし、恐ろしいですね。私も受信拒否しましたが、他の業者からヘンテコ
メールが来ないことを祈るばかりです。

迷惑メールで良かった!
着信拒否しよう!

ホッ・・・(*´∇`*)

はじめまして。
わたしも先日からコイスタからのメールが毎日来ていまして、クリックはしてないものの気になって検索をしてみて、このサイトさまに行き当たりました!
怖いですね・・・絶対クリックしちゃだめですね!
エッセイおもしろかったです^^

びくびくして過ごしてましたが、やっぱり「あんた誰!?」でした…
知らないサイトなはずなのに、ちょっと怯えている自分がいます。
早々にドメイン拒否しました。助かりました。

ど、どうしよう・・・焦ってアクセスして退会クリックしてしまいました><
請求が来るんでしょうか・・・・。

ウチもコイスタって言いう悪質メール来ました。
コイスタは電気通信法違反している可能性は高いと思います。
策としては1:受信メール証拠として残しておくこと(携帯電話のキャリアに契約しているところに見せればわかると思います。)
2:警察に相談してみては良いと思います。(ハイテク化)

本日コイスタから悪質メールが届きました。
皆様の投稿日付けを見る限り最近始めた悪質業者のような感じがします。
私も迷惑メールは10年以上届いたことがありません。
情報が漏れてることは考えにくいため、コンピュータによるランダム生成で
手当たり次第に送っていると思われます。

超−−−−−びっくりしました。
(^○^)
読んで安心したど−−−−

コイスタからメールきてめちやビビった…
ううっ(;>_<;)
でもこれ読んで安心(´ω`)ヾ
ありがとね★彡\(o^▽^o)/THANKS☆彡☆彡
友達にも届いてたので読むように言おうと(´Д`)

気になってしまい・・・
「メッセージを読む(無料)」っていうとこから入って
相手のプロフィールまでは見たんですけど

大丈夫ですか?

分かりやすい!!
とても面白い!!
ためになった!!
また書いてね!!

わたしも いきなりこのメールが届いてびっくりしました。 わたしは メールを最後まで読んでいなくて 18歳未満禁止と書いてあるのを知らなく、このホームページをクリックするか迷っていた所でした。 でも ちょっぴり不安だったので インターネットで「☆コイスタ☆」と調べてみると、このブログを読んで、出会い系サイトだと知り、クリックしないでよかったなと思い、とても安心しました。  ありがとうございました。 もう全然気にならなくなりました。

文才がうらやましい!
ただの迷惑メールをここまで拡げられる才能たるや。
今年一番のヒットです。

ホントにありがとうございます!エロフラッシュゲームを携帯でダウンロードしようとしたらこんなことがあったんでビビって手が震えっぱなしでした!今後そういうサイトにはふれないようにします!

旦那さまの名前で今日きてました

大分前には携帯にきてました。。。
これはいったい。。。。?

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