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好きな人の条件

 


 

 先日、友人と話していた折、会話の中で唐突に

「好きな人の条件を5つ挙げてみて!」

と言われた。突然そんなことを言われても・・・と思いつつ、指折りしながら挙げたのが、以下の通り。

【前提】私は異性愛者である。好きな相手は男性に限る。として。

【条件】
 ●優しい人。暴力的な人は苦手なので。
 ●寛容な人。器の小さい人は苦手なので。
 ●思いやりのある人。思いやりの無い人は苦手なので。
 ●映画・小説を読む人。趣味を共有できたら嬉しい。
 ●決断力のある人。優柔不断すぎるのも苦手なので。

 とまあ、ざっと5つ挙げた後に、「もう一つだけ条件を挙げるとしたら何?」と聞かれた。一生懸命頭をひねって考えたのに、と主張したものの、「とにかく挙げなさい」とせかされ、「それならまあ・・・」

 ●気兼ねしない人、自分が自然体でいられる人。

 と挙げたところで、友人が「その6番目に挙げた条件が、好きな人の第一条件!」と叫び、そこで決定印をパーンと押された。

 どうやら今の条件とやらは、心理テストだったらしく、最初にあれこれと条件を挙げるものの、最後に絞り出した条件そのものが、第一条件だった、という、最初なんだか最後なんだかよく分からない深層心理を突くテストであった。

 なるほど・・・そうかもしれない、と合点していると、他の友人からは

「内面以外の条件が一つも出ない人、初めて見た!」

と言われ、私は、あら本当、と驚いた。

 どうやら友人たちは、条件の中に、
 ●背が高い
 ●スマート
 ●稼ぎがある
 ●少しはイケメン
 ●運動ができる

 などと、ぎっしりと理想を詰め込んでいたらしく、それらが一つも入っていない私の条件に驚いたようだった。

「イケメンじゃなくてもいいの?」という疑い深い友人の問いに、私は
「イケメンにはあまり興味は無いし。むしろイケメンじゃないほうが味があって好き。飛石連休の岩見とか可愛いし」
 
怪訝そうな顔をする友人たち。

「背が低すぎても無理でしょ?」との問いに私は
「低すぎても高すぎても気にならない。猫ひろしも、池乃めだかも、ビックスモールンのチロとか好き」
 
との返答に茫然自失の友人たち。

「スマートじゃないとね? 太っててもいいの?」との問いに
「細くても太くても気にならない。天津向とか、ブラマヨ小杉とか最高!」
 
もはや友人は呆れ顔。

「運動はできたほうがいいんじゃない? 音痴すぎても嫌じゃない?」との友人の問いに、
「別に俊敏とか力持ちとか要らないし。でも生活習慣病が恐いからウォーキングくらいはできたほうがいいかもね」
 
との私の答えに友人は「いやいや、そうじゃなくて・・・」と焦り始めた。

「せめて稼ぎは必要よね・・・」との問いに、私は
「ありすぎて逮捕された村上ファンドは困るけど、また無さ過ぎて身体悪いときに病院行けなくなったら困るから、ほどほどには必要かなぁ。少ない財産をいかに運用するかが大事だから。これが生きる知恵だと思う。経済アナリストの森永卓郎さんみたいにね」
 
友人らは首をひねっていた。

 私と友人との間には、相当程度の価値観の隔たりが見受けられた。

 好きという価値観は、人それぞれ違う。

 外見上のかっこ良さや、内面からにじみ出るかっこ良さ、について、どう感じるかで好きの範囲は広くなったり狭くなったりする。
 カッコイイということについても、顔が端正なのか、全体的に端正なのかという見た目から、何かに打ち込む真剣さや一途さという内面に対しても、様々な解釈がなし得る。
 優しいということにも、女性的で優しいのか、気遣いのできる優しさか、人によって優しく見える行為であっても、冷たい行為として受け取られることもある。

 人の価値観の中身が多義的である以上、十人十色、色々な感じ方がある。

 「イケメン芸人」などともてはやすメディアだが、見た目の美醜の感じ方は人それぞれであり、モデルや俳優など見た目が重要視される分野なら分かるが、芸人といった、芸を磨く分野にある芸人を、イケメンと持ち上げる風潮はいただけない。芸という個性が全面に出て初めて、芸人は芸人として生きてくると私は思う。

 かく言う私は、イケメン代表格の水嶋ヒロやキムタクをテレビで拝見しても、全く心に響かない。心に響きそうな点をじっと眺めてつぶさにカウントしたが、何も無かった。

 映画「タイタニック」の大ヒットの全盛期にレオ様とメディアに持てはやされた貴公子時代のディカプリオでさえ、私には至極物足りない。むしろ、近年の社会派アクション映画「ブラッド・ダイヤモンド」のときの、まるで引退寸前の貴乃花を思わせるような、殺気立ち脂汗にじみ目をぎらつかせた鬼の形相をしたディカプリオに、私は酩酊した。

 男はつらいよの寅さんが情けなければ情けないほど、私の心はわしづかみにされる。普段の渥美清さんは着ている服も上品でスマートな紳士だったらしいが、それよりも、私は腹巻に手を突っ込んで爪楊枝をくわえてブラブラと歩く、寅さん姿に強く心惹かれるのである。

 好きになる理由、それらは理屈ではなく、本能なのかもしれない。

 したがって、以上のような価値観を持って過ごす私の実生活は言わずもがなである。

 イケメンが好きな人もいれば、好きではない人もいる。人が人を好きになるのは、地球が少しでも長く繁栄するための、うまくできたシステムなのかもしれない。
 需要と供給のバランスはうまく合っていると思う。

 ・・・と先日視聴したアメトークの「イケてない芸人」の方々を見て、ふとそう思った。

 世の中全ての愛すべきイケていない人たちに。
 私はあなた方を愛している、と。

最後に。沖縄ではどこにでも生えているアメリカセンダングサの素朴な花。見慣れた中にも、その独特の味わい深いさりげない美しさに心惹かれる。


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